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こんにちは!先輩

こんにちは!先輩

戒能美雪先生
労働者健康安全機構 山口労災病院 消化器内科部長

「女性医師の活躍を期待して」

 山口労災病院消化器内科の戒能美雪(かいのう みゆき)です。胆膵領域を中心に消化器診療に取り組んでいます。医師として26年目を迎えました。振り返ってみますと、多くの方々に支えられて今の自分があるのだと深い感謝の気持ちでいっぱいになります。

一人前の医師を目指して
 私は1985年に山口高校を卒業し、山口大学医学部に入学しました。高校時代の途中まで、薬剤師である母を目標に薬学部を志望していましたが、次第に医療全般に興味を持つようになり、進路を変更し医師を目指しました。大学では軟式庭球部で練習に明け暮れ、仲間と本当に楽しい時間を過ごしました。一方で、地道な努力がいかに大切かなど多くのことを部活で学びました。1991年に医学部を卒業、第一内科学講座(現・消化器内科学)へ入局しました。研修医として山口大学医学部附属病院および済生会山口総合病院で2年間勤務した後に、大学院へ進み学位を取得しました。この6年間に、消化器診療・基礎研究において第一内科および同門の多くの先生方に熱く厳しく指導して頂いたことは、仕事を続けていく上での大きなモチベーションとなっています。医師として自身が興味のある分野に進み、好機を逃さず学ぶことは重要であると思います。

子供を授かって
 プライベートでは卒後6年目に結婚、翌年に第一子を授かりました。この年、私は小野田市立病院(現・山陽小野田市民病院)へ赴任したばかりでした。消化器を専門とする内科医は私を含めて3名のみ、今とは違い育休取得や短時間勤務など考えられない時代であり、他の医師の負担増を考えて迷わず産休明けで復帰しました。さらに2年後には第二子を妊娠・出産いたしました。産休明け直後は夜間に3時間毎の授乳をしながら通常勤務を行い、毎日が当直明けのようなハードな日々でした。が、この時期にも仕事を辞めたいと考えたことは一度もなく、ほぼ全例のERCPおよび関連治療を任されていましたので、スキルアップには大いに生かされました。

 一方、家庭では最大の理解者・協力者である夫と義母に強く支えられました。夫は私と同様に胆膵領域を専門とする勤務医であり(現・山口大学消化器内科学准教授)、重症例の担当や時間外の呼び出しも多く、決して余裕のある状態ではありませんでした。が、私の仕事に対しては誰よりも理解があり、お互いに切磋琢磨してきました。育児・家事においても非常に協力的に行動してくれています。また、義母は私達夫婦を手助けするために、平日は私達の家に来て週末には自宅に戻る、という生活を長い間続けてくれました。子供達を暖かく厳しく育ててもらったことを今でも本当に感謝しています。私自身も育児には懸命に取り組みましたが、彼らの成長に感動した場面は数え切れません。そして彼らを通じて素敵な出会いがたくさんありました。私の人生もとても豊かになっています。

男女共同参画への思い
 仕事と育児に奮闘しつつも、やがて指導的立場になり、若手医師支援を考える場に積極的に参加するようになりました。第22回日本消化器関連学会週間(JDDW2014 神戸)での日本消化器病学女性医師・研究者の会では「胆膵内視鏡診療における女性医師のスキルアップを目指して」というタイトルで発表を行いました。この発表がきっかけとなり、女性医師関連の特集を計画していた日経メディカルの取材を受け、特集「辞めない女医のつくり方」(2015年1月号)に記事 [復帰時に内視鏡手技の感覚を取り戻すためのシミュレーターの活用] が掲載されました。この特集には、キャリアを伸ばしたい女性医師と実際にサポートしている立場にある医師双方の生の意見や、改善策が多数載せられ、反響は大きかったようです。第91回日本消化器内視鏡学会総会(2016年5月 東京)では、夫がワークショップ「消化器内視鏡における男女共同参画の推進 -現状と改善策-」、私が附置研究会「女性内視鏡医のキャリアサポートを目指した教育研修体制確立に関する研究会」で発表する機会を得、また多施設からの発表も拝聴しました。都市部では、常勤医と育児中の女性医師の間でwin-win relationshipが構築されている病院もありますが、多くの急性期病院ではサポートする側の医師の負担が増加しているのが現実です。女性医師一人一人が能力を最大限に発揮することが期待されています。

最後に
 おそらく私より上の年代の女性医師の先生は、逆風の中をご自身の努力で勤務を続けてこられた方ばかりと思います。先輩方のご尽力があってこそ、様々な女性医師支援が進んできたことを忘れてはいけません。ライフイベントにより仕事のペースを落とさざるを得ない期間があるとしても、その先を見据えて、目標へ少しでも近付けるよう頑張ってください。一人でも多くの後輩が医療現場で活躍されることを心から祈っています。

プロフィール

現職
労働者健康安全機構 山口労災病院 消化器内科部長
出身地
山口県山口市
出身大学
山口大学
卒業年
1991年