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こんにちは!先輩

こんにちは!先輩

福江宣子先生
地域医療支援病院オープンシステム徳山医師会病院 循環器内科部長

「田舎暮らしの勧め」

 私は現在完全開放型(開業医師自身が主治医として患者さんを入院させる)病床を持つ徳山医師会病院に勤務している循環器内科医です。経歴ですが、1999年に山口大学医学部を卒業し、第二内科に入局しました。志望理由は一般的な内科疾患の患者さんを診療できる医師になりたいという動機だったと思います。その後大学院や県内の病院での勤務を経て、2007年に高校教師と結婚しました。翌年娘を出産し、産育休明けから現在勤めている徳山医師会病院へ赴任しました。院内保育園に娘を3歳まで預け、最初1年は2時間の時短勤務と病院側によくサポートしてもらいました。2011年に息子を出産しました。二回の産育休の際には、第二内科より代替医師を派遣してもらい、ストレスなく休むことができました。二人目の産育休後の復職時、まだ甘えたがる娘と手のかかる息子を抱えて、夕方帰宅後食事や入浴の世話が大変で、1年間県医師会の保育サポーターバンクにお願いして、帰宅後の1-2時間程お手伝いに来てもらい助かりました。

 現在は平日8時半から17時までフルタイムで勤務しています。帰りに保育園、児童クラブにお迎えに行き、18時に帰宅。仕事に行っている間に家事代行サービスの方が準備してくれた夕食を親子で食べ、子どもたちをお風呂に入れて、20時には子どもを就寝できるようにするため、夕方はいつも大急ぎの状態です。私の労働は朝5時の朝食準備から始まるので、実労働時間は急性期の病院勤務の先生にも負けない位だと思っています(笑)。だんだんと子どもの世話自体は楽になってきましたが、今度は娘のお稽古事の送迎が平日夕方に入ってきました。ホッとできる時間が減った気がしていますが、来春からは退職予定の夫に家事育児全般を任せる予定です。現在病院の当直は免除されていますが、二次救急の日直には出務しています。このくらいであれば、負担感はありません。

 この記事を読んでくださっている後輩の皆さんはきっと意識も高く、握力強く仕事も家庭も得たとしても、仕事を何らかの形で継続されることと思います。家事や育児に関して今はいろんなサービスが利用でき、職場の理解も進んでいるはずです。細かいことにこだわりすぎなければ、あまり心配せずとも仕事と家庭の両立は何とかなると思います。

 次に、私のリア充ライフの方を紹介させてください。私自身はいろんな生活上の助けを借りながらも、毎日基本クタクタになって夜布団に入ったらすぐ眠れる疲労具合ですが、翌朝はあまり疲れを残さず過ごせています。理由は住居環境です。娘が3歳までは周南市の石油コンビナートが眼前に広がり、交通量も多い道路沿いのマンションで生活していました。喘息のよく出る娘が1歳のとき、そうした環境での生活は子育てに向いてないと感じていたことから、もっと環境のよい田舎に自宅を建てることにしました。海沿いの山林に囲まれた土地に、木造の家を設計士さんと数十回の打ち合わせを重ねて完成しました。完成まで2年の歳月がかかりましたが、自然素材でできた我が家は気持ちよく、疲れが癒されます。夜は虫の音、波の音を聞きながら、草木を抜けてくる風は心地よい眠りを誘います。育児の面でも、子どもたちは5月から12月くらいまでは普通に海に入って身体を動かし、庭のヤマモモの木に友達と秘密基地を作り、そこで楽しそうにおやつを食べたりして逞しく成長しています。

 私自身も5年前から25坪程の家庭菜園を始め、何度も虫、カラス、猪、台風等の困難に見舞われながらも、「そろそろこの野菜の種まきしないと」とわかる位のレベルになってきました。自らの手で食べ物の種を播き、うまく育つことができた作物を収穫し食べるということは心の底から喜びを感じ、また成長過程を見てきた野菜に対して慈しみの気持ちまで抱いたりします。さらに自分で自給できるという深い安堵感を得ることができます。特にジャガイモ等の炭水化物がたくさん取れると強く感じるので、きっとお米が作れるともっとなんだろうなあと思ったりします。週末だけの世話だと畑はすぐ草まみれで、手入れが大変ですが、不思議と無心で草を刈り、土を耕していると、日常的に蓄積していく精神的な疲労が汗とともに流れ出て、頭がすっきりしていくように感じます。

 近年、頻発する地震等の災害では都市型生活の弱さを感じます。排泄一つとっても、トイレに水が流れないと普通に使用できない。水も得られない。田舎では庭なりに穴を掘って土に排泄することもできるし、湧き水が出る場所や手漕ぎポンプの井戸等あれば、水を得ることにも対応できる等、災害時の対応手段に恵まれています。畑は食料の備蓄にもなり、燃料も薪や炭を日頃から使っていると、改めて準備しなくてもいつも備蓄がある状態となります。

 この辺が私の田舎暮らしをお勧めする理由です。勿論刺激的な都会での生活も良いですが、もっと生命の根源的欲求を満たす生活ができるのは自然に近い生活だと私は思います。医師の仕事はどんな科を選択しても、生身の患者さんの身体を扱うハードな仕事です。だからこそ食べること、休養することといった生活基盤はしっかりしておくことが大切だと考えます。

プロフィール

現職
地域医療支援病院オープンシステム徳山医師会病院 循環器内科部長
出身地
山口県宇部市
出身大学
山口大学
卒業年
1999年