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こんにちは!先輩

こんにちは!先輩

岩本早耶香先生
光市立光総合病院 消化器内科部長

「医師としてのモチベーション」

 光市立光総合病院の岩本早耶香です。先日40歳になり、医師として消化器内科医として14年目の勤務医です。子供を出産するまでの7年間は、妊娠中でさえもガツガツ仕事しておりました。しかし、33歳で双子を出産後はそれまでとは一転、辞めることばかり考えていました。結局は、常勤医として当直、病棟主治医、救急オンコール、男性医師とまったく同じ条件で働いております。

 今回、このような機会をいただきましたので、出産後の自分の葛藤について振り返ってみたいと思います。

 研修医時代は内視鏡検査を覚えることに夢中で、大学院時代の4年間は、胆膵内視鏡の専門医を目指し、技術の習得、学位や専門医取得を目指して研究、論文、学会発表・・・。大変でしたが遮二無二頑張った計6年、苦痛ではありませんでした。新婚でしたが、会社員の主人は私の仕事に対して理解があり、文句も言わず私を見守ってくれていました。大学院時代に専門医、学位を取得後、勤務医として出向。妊娠しお腹が大きくなっても産休ギリギリまで仕事しました。

 しかし、出産後はそれまでとは一転。病院からの着信音にため息が出るようになります。子供を置いて病院に行く時は、二人の子が大声で泣き、「おかあさん行かないで」とすがってきます。熱を出し泣いている子供を、義両親に頼んで仕事に出かける時、自分の子供が病気なのに他人の病気を診ることを疑問に感じるようになりました。仕事以外の時は、なるべく子供と一緒にと思っていましたので、学会にもほとんど行きませんでした。仕事に対してのモチベーションもさがり、常勤医を辞めることを考えていました。暇があれば、M3の医師募集のページを閲覧し、非常勤として就職するための知識を得ていました。そのため、辞めても非常勤として働く先や給料面での心配はありませんでした。では、なぜ辞めなかったのか。辞める勇気と辞めるタイミングを逸してしまったからかと思います。

 オンコールの精神的苦痛や肉体的苦痛で仕事へのモチベーションは下がってはいましたが、それでも患者さんやご家族からの感謝の言葉は仕事のやりがいでした。主治医として外来から入院、その後の外来、可能な限り精一杯対応していたからこそ、感謝の言葉がうれしいのだと思います。常勤医を辞めるということは、仕事へのモチベーションを完全に失うかもしれないことであり、その状態で仕事をすることが怖かったのです。辞めても子育てが落ち着いたら常勤に復帰をすれば良いと言われることがあります。しかし、私の場合は産休育休で半年休んだだけでも、久しぶりの内視鏡、CV、全科当直に緊張し、新しい薬にびっくり・・・。一旦やめてしまうと、その後の復職のハードルが非常に高く思え、辞める勇気がありませんでした。

 辞めたいけど辞める勇気がない。私が葛藤している間に子供は成長し小学一年生。私が呼び出されても、「呼び出し?帰りにアイスを買ってきてね。」と送り出してくれるようになりました。「おかあさん行かないで」と泣いてすがった可愛い子たちは、アイスと引き換えに快く私を送り出してくれるようになりました。もう辞める理由がなくなり、完全に辞めるタイミングが失われてしまいました。

 義母のご飯が美味しく、ガミガミ怒る私がいないので、義両親宅へのお泊まりが嬉しいようです。泊まりで学会にも行けるようになりました。学会では勉強ができ、自分のモチベーションを高められます。「アクティブな人に会って話をする」ことはモチベーションを上げるのに良いそうです。全国学会はアクティブな人だらけですので、そのやる気を分けてもらってモチベーションを充電します。私も2年に1回は発表するという目標を立て、今のところ実行しています。

 当直が続いた時や、オンコールが多かった週の終わりには、「辞めたいなぁ」と思いますが、感謝の言葉でモチベーションチャージをしています。私の当直と呼出しの給料でディズニーランドに行けると、子供たちに教え込んでいるためか、ミッキーとミニーに会うことが子供たちのモチベーションとなり、わたしの仕事を応援してくれています。

 今年40歳。定年まであと25年。まだ医師としての道は1⁄3しか過ぎていません。今後の長い医師としての自分の人生を考えると、辞めなくてよかったと思います。また当直が続くと辞めたくなるかもしれません。しかし、可能なうちはギリギリまで、モチベーションを保ち自分が楽しめる仕事をしようと思っています。

 女性医師の場合は私生活により、仕事の質や量で悩む時期が少なからずあると思います。悩みながらも仕事を続けていると、状況や時間が解決していることもあります。頑張って下さい。

 当院には昨年2名の若い女医さんが赴任されました(それまでは私一人でした)。医局に女子ロッカールームができました。時代の変遷を嬉しく思います。たくさんの後輩の女医さんと仕事ができることを夢に見て、まだまだしばらく私も頑張ろうと思います。

プロフィール

現職
光市立光総合病院 消化器内科部長
出身地
兵庫県
出身大学
山口大学
卒業年
2002年