Interview
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医療と社会の関わり
医療と社会の関わり
みなさん、初めまして。
山口大学医学部5年の西郷奈津子です。
私は、社会学部を卒業し、行政機関で3年間働いた後に山口大学医学部に編入しました。医学部への編入を考えたきっかけは、新卒で医療政策を扱う部署に配属され医療政策に興味を持ったことです。
大学では社会問題や街づくりを扱うゼミで学び、公共政策や社会問題全般に興味を持ち、行政機関を選びました。そこで最初に配属されたのが医療政策を扱う健康福祉部でした。行政の中でも健康福祉関係は特に課題の多い部署でした。高齢化社会への対応、障害者支援、子育て支援や虐待通報、出生率の低下への対策、社会保険料や医師・看護師不足、食中毒対策や危険ドラッグ取締りなど挙げ始めればキリがないほど様々なことを扱っている部でした。そのため職員も多く、予算規模も大きく、議会でもよく論点になる巨大部署でした。このような大きな部署の部の秘書や総務として働かせていただき、健康福祉部が関わる問題や施策を幅広く知ることができました。また幹部の出張に同行させていただき、医大や各地の病院、児童養護施設や介護施設などを見学させていただきました。その中で、自分も専門性を持って仕事をしたいと考えたことや、実際に医療政策を考えていく際にも実際に経験に基づいた方がもっと深く関われるのではないかと考え、医学部に編入しました。
編入のきっかけは医療政策にもっと深く関わりたいことでしたが、実際に医学部の授業や実習を受ける中で臨床医としてしっかり働きたいと思うようになりました。特に4年の2月から始まった臨床実習が始まると、実際に患者さんを治していく医師を目の当たりにする機会が増え、その思いは一層強くなりました。
臨床実習が始まるまでは自分の志望科として、母子保健や虐待対応などで行政と関わりが強い小児・産婦人科や行政対応が必要となることが多い感染症科を考えていました。しかし、現在回ったどの科でも社会問題との関連が深く、社会的なつながりや行政支援が必要であることがわかりました。
例えば、皮膚科で扱う円形脱毛症は命には関わりがないかもしれません、しかし、患者数は100万人を超えると言われ、患者にとっては深刻な問題です。またそれを隠すためのウイッグは保険適応がなく、行政に掛け合っていると伺いました。整形外科はスポーツのイメージなどが強い科でしたが、腰痛は労働災害の圧倒的第一位を占めており社会問題となっています。また健康寿命と平均寿命の間の差を小さくすることを考える時、運動指導やリハビリといった整形外科による適切な指導が不可欠であることを学びました。
このように実際に臨床実習で回る前には気づいてなかった、知らなかった点に多く気付かされています。
どの科に進んでも社会問題を関わっていけることに気づけたのはとてもよかったですが、科の選択についてはまた迷ってしまっています。
しかし、「こんにちは!先輩」を読んだり、実際の女性医師の先輩たちを話したりすると、どの方も自分の選んだ道で充実して働いており、どの方の仕事も社会問題の解消に役立っていることを強く感じます。まだどの科に進んでどのようなキャリアを歩んでいくかは模索中ではありますが、どの分野に進んでも先輩方を見習って、その場所でのベストを尽くしていきたいと思います。
最後になりましたが、私たちにキャリアを考えるきっかけやヒントを下さった、「こんにちは!先輩」を執筆された生方に心よりお礼を申し上げます。