Medical Student

= わたしは医学生 =

Interview

村田絵充さん 山口大学 医学部医学科3年

Interview

村田絵充さん 山口大学 医学部医学科3年

医学生は忙しい

医学生は忙しい

 医学生は忙しい。

 2年生から3年生にかけては、ほぼ毎週行われる試験の準備に追われ、部活やアルバイトも続けながら、しかも医学祭などの行事があればなんらかの役割も押しつけられる。いや、割り振られる。委員会などというものもある。

 勉強が学生の本分であるという事実に対しては微塵の疑いもないが、勉強だけで学生生活が完結しないのもまた自明のことなので、あらゆる場面で何を優先すべきかの選択を迫られることになる。例えば「この試験を落とすと、再試の日程が部活の遠征とかぶるからまずいな。」と思えば、友人と過ごす楽しい週末をあきらめ、眼前の試験に全力を傾けるという選択をする。

 まさに毎日が難しい選択の連続のような気がする。繰り返しになるが、いくら本分とは言え「勉強」だけを選択するわけにもいかない。

 この「選択」を行う時の考え方こそが私は重要だと思っている。

 つまり、選択は常にポジティブな考えや理由に基づいて行われ、自分が望む結果をイメージしながら選択すれば、結果として物事がうまく運ぶような気がするし、仮に結果が思い通りでなくても後悔は少ない。反対に何かネガティブな結果を避けようとして「仕方なく」選択した場合には失敗が多く、また失敗したときの落胆も大きいように思う。先ほどのように、試験に落ちると困るからというようなネガティブな動機で試験勉強をしても、勉強へのモチベーションは上がりにくいし、仮に合格点に届かなかったときには、もっと勉強してたらよかったと思う反面、こんなことなら試験前に我慢しないで友達とご飯を食べに行った方がよかったと思うかもしれない。一方、試験勉強で覚えた知識がいずれ自分を助けてくれると考えることができたときや、問題を解く面白さや、試験に合格したときの喜びがイメージできると勉強は捗りやすいし、仮に不合格の時にも「遊んどけば良かった」というような後悔はしない。

 以前山大出身のドクターに聞いた話では、手術が必要な患者さんにおいても、手術も嫌だけど病気はもっと嫌だから仕方なく手術を受けるというケースよりも、早く良くなって趣味や仕事に戻りたいという意欲があるケースの方が術後の経過が良い場合が多いと聞いたことがある。患者さんにとって治療には様々な苦痛を伴うことが多く、その中で担当医の勧める治療を受けるかどうか、さらに治療方法が複数ある場合は、そのどちらを受けるかという難しい選択を迫られる。もしも先述の医師の言う通り、治療結果に対する積極的な期待、つまりポジティブな動機で治療を選択することがよりよい治療効果を生むのであれば、私はそれを手助けできる医師になりたいと思う。自分自身が毎日の選択を漫然と行うのでなく、より積極的でポジティブな視点に立ってそれぞれの選択を行う習慣を持ち、その意義を患者さんにうまく理解してもらうことができれば、医師としての重要な役割の一つを果たすことになるのではないかと思っている。

 私は卒業して女医になる。

 結婚や出産、そして育児と自分自身のスキルアップとの間のジレンマなど、女医にありがちとされる問題にぶつかるかもしれないが、その都度ポジティブな視点で選択を行うことを心がけ、たとえ困難があってもその先のより良い結果に期待しながら、女医としての人生を楽しみたいと思う。