Medical Student

= わたしは医学生 =

Interview

濱崎楓子さん 山口大学 医学部医学科4年

Interview

濱崎楓子さん 山口大学 医学部医学科4年

アメリカ留学で見つけた夢

アメリカ留学で見つけた夢

 みなさま初めまして。山口大学医学部医学科4年の濱崎楓子と申します。

 私は昨年度の自己開発コースにおいて、アメリカ・ミシガン大学の神経病理学の研究室に所属させていただきました。自己開発コースは医学科3年生のカリキュラムで、約半年間研究室に所属し実際に研究活動に従事するプログラムです。せっかく研究活動を行う機会を与えられたからには、世界的に有名な大学や研究機関で行われる研究がどのようなものか自分の目で見、実際に経験してみたいと考え、ミシガン大学の研究室を紹介していただきました。留学では多くの学びを得ることができましたので、それを特に後輩の皆さんに知っていただきたいという思いから寄稿させていただきました。

 私はこの度のアメリカ留学で、思いがけず新たな夢を見つけました。それは、将来医学研究に携わりたいというものです。もともと臨床への憧れが強かった私は、将来のキャリアの選択肢として研究に携わることを考えたことはありませんでした。ところが実際に研究室に受け入れていただき研究プロジェクトに携わる中で、計画通りには進まない科学研究の難しさと、トライ・アンド・エラーを繰り返しながら新たな知見にたどり着く喜びを知ることが出来ました。また、世界各国から研究者が集いアイデアや互いのスキルを提供しながら競い合って研究を進めていく様子を間近に見る中で、自分もそれに加わりたいという思いを強く抱くようになりました。研究の醍醐味は、科学を通して世界の人とつながり競争できることや、世界でまだ誰も知らない事実を発見し追求していく面白さにあると思います。もちろんこうした魅力は世界中どこで研究していても共通するものではありますが、研究の道に特別の関心のなかった私がその魅力に気付くには、目に見える形でそれを示してくれるアメリカのような研究環境を経験してみることが必要だったとも感じています。医学研究に携わりたいという目標は私にとって留学しなければ見つけられなかった夢であり、留学から得た最も大きな収穫であると確信しています。

 また、ミシガン滞在中に出会った大学生や大学院生との関わりからも学ぶことが多くありました。数あるエピソードの中でも、アメリカ人学生、中国人留学生と共にそれぞれの国の第二次世界大戦に関する歴史・平和教育について話をしたことが深く印象に残っています。難しい話題についても話し合える仲間と出会い、異なる立場から意見を交わせたことは非常に貴重で有意義な経験でした。私は広島出身ですが、それを知った学生に原爆について尋ねられることも少なくなく、8月6日の原爆の日に合わせて曾祖父母の被爆体験について話をする機会をいただきました。アメリカは原爆を投下したまさにその国であり、現在も核保有国です。また、留学生や2世など中国や韓国にバックグラウンドを持つ人々も多く、日本人そして広島出身の学生として戦争や原爆の話をするのには「アウェー」とも言える環境でした。私は高校時代平和活動に取り組んでおり国際親善や平和祈念のイベントでスピーチをした経験がありますが、そのいずれもいわば「ホーム」の場であり、今回のように、聴衆に受け入れてもらえるだろうかと緊張感や不安を抱きながら話をしたのは初めての経験でした。話が聞けて良かった、印象に残る話だった、といった感想をもらったときには大きな安堵と充実感を覚えたことが忘れられません。そして同時に、高校時代に熱心に取り組んだ活動が留学中のひとつの経験と学びに発展した大変嬉しい出来事でもありました。自らの経験がこのように予期せぬ形で繋がっていくことで人生の幅が広がっていくのではないかと感じ、今後も視野広く様々なことに挑戦していきたいと思いを新たにしております。

 ミシガン大学では、強い志を持ってアメリカに留学している多くのアジア人留学生に出会いました。同世代の彼らとの出会いはとても刺激的なもので、自分は将来何をしたいのか、そのために今できることは何かを真剣に考えるきっかけとなりました。アメリカへの留学で見つけた夢に向かって、志高く日々の勉学や研究活動に励んでいきたいと思います。